探偵の風貌
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よくお客様(ご依頼主)から、あなたは探偵には見えませんね、という言葉をいただきます。
一体、褒め言葉なのか、けなされているのかよく分かりませんが、とにかく、30年選手なのに未だに探偵には見えないみたいです。
それでは、何に見えますかとお聞きしてみますと、それがさっぱり思い浮かばないそうです。
そんなに存在感ないのかなあと、がっかりもしますが、毎度のことなので最近はあまり気にしなくなりました。
ところで、この世の中、多種多様な職業が存在しますが、長年、同じ職業に携わっていますと、それぞれ皆その職業に応じた風貌を身に付け、どこからともなく職業柄が滲み出てくるようです。
従って、私などはそれこそ職業柄、その人の風貌を見ただけで大抵の場合どんな職業か当てることが出来ます。
逆に私の場合はと言いますと、周りの人からは探偵には見えない訳ですから、職業柄が滲み出ない未熟者という事になるのでしょうか、それとも探偵だということが判らないことが本当の探偵ということになるのでしょうか。判断に悩むところです。
実際、仕事の上でも損することと得することがあります。
よく初対面のお客様に、あなたで大丈夫?というような顔をされることがあります。
恐らく素人探偵か、ただ単に年を食った新人探偵位に見られているのでしょう。
人間、話せば分かるとは言いますが、やはり第一印象というのは非常に大事だそうですから。
ところが接客の時とは反対に調査の現場では得をすることもあります。
流石にシャーロック・ホームズのような出で立ちは恥ずかしくて出来ませんが、スーツにカバンを持てばうだつの上がらないサラリーマン、上着を作業服に替えれば〇〇電気の店員さんに早変わりしてしまいます。
でも、いくら何でも女装はしません。
返って目立ちますし、何より似合わないので。
ということで、私の場合、お客様に会う時にそれなりの格好で臨めばほぼ探偵として完璧ということが分かりました。
きょうから付け髭、山高ハット、暑いのにやせ我慢のトレンチコート、という出で立ちでお客様をお迎え致します。